贈与や相続を考える時、民法と税法を整理して検討する必要があります。
贈与は、民法における債権契約により贈与者から受贈者に贈与者固有の財産が移転することをいいます。また相続は、民法の規定により被相続人固有の財産が一方的に相続人に移転することをいいます。その結果として、贈与税または相続税が発生することになります。
民法における所有者固有の財産とは、土地や建物、現預金や有価証券だけではなく、金銭として見積もることのできる全てが対象になります。これらの財産を贈与するためには、贈与者と受贈者両者の合意が必要です。また、相続で遺産分割を行う際は、相続人全員による合意が必要となります。
しかし、贈与されたわけでも相続したわけでもなく、税法上、支払事由が発生したことで贈与や相続があったものとみなされ、贈与税や相続税が課税されるものがあります。例えば、生命保険や死亡退職金、一部の個人年金など、みなし相続財産と呼ばれるものがこれにあたります。
これらの財産は税法上のみなし相続財産にすぎないので、生命保険の分割や受取人の変更を求めることができません。そのため、あらかじめ遺言書に記載したり、分割協議を避けるために渡したい人を受取人にしてしておくなど、渡したい人に確実に渡す方法を検討する必要があります。
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